
毎年秋の恒例となっている、社会福祉法人『誠和会』の第8回『福祉講演会』が、昨年11月11日(土)、介護老人福祉施設『けやき』にて開催された。今回は、第一部で同法人の介護老人福祉施設『けやき』の介護福祉士・松岡小織さんと、同じく『たちばな』の介護士・真名子宏美さんによる『海外研修報告「ドイツ高齢者福祉施設」』が行われた。そして第二部では、本誌でも何度か紹介した、デンマーク在住でユーロ・ジャパン・コミュニケーション社代表の小島ブンゴード孝子氏による『福祉先進国デンマークに学ぶ、高齢社会を楽しく生きる知恵〜今から始める介護予防と、認知症ケア〜』と題した講演が行われた。
第一部では、誠和会が3年前から交流を続けている、ドイツの高齢者福祉施設について紹介。日本の介護保険の手本となったドイツの高齢者福祉施設を視察して、職員の視点で見て感じたことがパワーポイント(写真)を交えて紹介された。フランクフルトから電車で約25分の温泉と保養施設の町・バートホンブルグにある1999年に設立された施設で、約1800uの敷地に6つの棟を有している。その建物の外観や内部の様子、室内、さらに施設の運営方針、バースデイパーティやボランティア活動の様子、入居の費用など、ドイツの高齢者福祉施設での暮らしぶりをこまかく紹介。日本での施設運営の参考になることも多い、海外現地報告であった。
第二部では、福祉の先進国デンマークについて、国の概要からデンマーク人の人生や福祉に対する考え方、税金や年金の制度、さらに福祉のしくみや高齢者住宅での暮らしぶりまで、多面的に詳しく紹介された。まずデンマークは北海道の約半分、ほぼ九州と同じ面積に540万人が住む小さな国だが、国民一人当たりのGNPは世界4位、そして国民の幸福度は世界1とブンゴード氏。そして、デンマーク人が考える3つの人生として、@成長期の第1の人生、A働く第2の人生、そしてB退職後の人生の総まとめ期としての第3の人生をあげる。その第3の人生の考え方としては、「老いては子に従わず」「家族は精神的な支え」「ケアはプロに」「いつまでも市民としての責任を果たす」「長生きより、自分らしい人生を決める」、つまり〈高齢者の自立〉こそがキーワードであり、老後、余生という言葉はデンマーク語にはないと強調する。
第3の人生の過ごし方のタイプにも3つがあり、@まだまだ現役という「積極型」、A少し休みをとり趣味などを伸ばしたい「休養型」、B生活に支障がある「サービス受給型」に分けられるという。そして、いずれのタイプでも共通するいきいき人生の条件が、「自立」「自己決定」「いきがい」「健康」「家族や友人とのネットワーク」「好奇心、向上心」だと述べる。さらに、デンマーク高齢者の生活環境として、家族関係、年金などの経済的な自立支援制度、住宅、教育、行政サービスについても紹介。そして高齢者ケアの3原則として、@自己決定(いつまでも自分らしく生きる)、A継続性(住み慣れた地域でいつまでも)、B残存機能の活用を挙げる。
そのほか、医療・介護を支える制度やしくみ、施設などについても紹介された。最後に質疑応答が行われ、参加者から多くの質問が寄せられていた。